スマイルケア食

2022/09/01 コラム

スマイルケア食

令和3年度の高齢者白書によると、2020年10月1日現在の日本の総人口は1億2571万人で、65歳以上(高齢者)の人口は3619万人です。

65歳以上の人口を日本の総人口で割って百分率で表すと、「高齢化率」という数字を出すことができます。

さきほどの計算式を求めると、高齢化率=28.8%です。

この数値は日本が世界でトップクラスの高齢者の割合であることを意味しています。

そして、ニュースなどで耳にする「高齢化社会」ではなく、我が国は「超高齢社会」と表現することができます。

 

 

また、令和2年人口動態統計によると、「食べる力」が衰えることで食物などが肺に誤って入り、炎症を引き起こす「誤嚥性肺炎」は日本人の死因の第6位(約4.3万人)です。

以上のことから、食事を噛むこと、飲み込むことの機能が弱くなった高齢者への食事・栄養サポートがとても重要であることがわかります。

 

そこで、農林水産省から新しい介護食品の考え方「スマイルケア食」が策定されました。

スマイルケア食とは、食事を噛むことや、飲み込むことに問題があり、自宅で暮らしている高齢者や障がい者の方が、安全に食事をとるための食品のことです。

具体的には、レトルト食品や缶詰などの加工食品やゼリー状のものまでさまざまな商品が、「スマイルケア食」の認証を受けています。

 

「青」マークは噛むこと・飲み込むことに問題はないものの、健康を維持するために栄養補給を必要とする方向けの食品、「黄」マークは噛むことに問題がある方向けの食品、「赤」マークは飲むことに問題がある方向けの食品と、対象者の「食べる力」に合わせて食品を選ぶことができます(図表参照)。

 

      -スマイルケア食の選び方-  (農林水産省HPより引用)

 

現状の商品登録数は、「青」マークが227品、「黄」マークが6品、「赤」マークが14品と、各マークの商品登録数に大きな偏りがあります。

政府は現在「スマイルケア食」の普及活動を進めています。スーパーマーケットやドラッグストアなどで、バリエーションに富んだスマイルケア食が気軽に購入できる日がくることを期待しましょう。

 

対象者の「食べる力」に合わせた食事の提案ができるのは、管理栄養士の専門性です。

医師や歯科医師などの専門職と連携をとり、「スマイルケア食」の発展とともに、高齢者が安心して暮らせる地域社会づくりに管理栄養士の活躍の場もどんどん広がりますね。

 

 

 

 

【参考文献】

・“第5表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・構成割合”.令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況.厚生労働省,2021,p.13.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/14.pdf(参照2022-3-23).

・“第1章 高齢化の状況”.令和3年版高齢者白書(概要版).内閣府,https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/gaiyou/pdf/1s1s.pdf,(参照2022-3-23).

・農林水産省.“新事業・食品産業:新しい介護食品(スマイルケア食)”.農林水産省ホームページ.2022.https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html,(参照2022-3-23).

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