運動だけではない骨格筋の役割

2019/12/01 コラム

運動だけではない骨格筋の役割

皆さん、身体を動かしていますか?

 

今回は、「骨格筋」とその様々な役割や最近の知見について紹介したいと思います。骨格筋について聞き慣れない方から、「骨格筋は筋肉の一種だろうけど、どういう働きをするの?」という方まで居られるかもしれません。

 

まず、人体の筋肉について簡単に説明しましょう。

 

筋肉はゴムのように収縮弛緩する事によって、身体全体や、臓器、消化管、血管などを動かす働きを持ちます。人体に存在する筋肉は、「平滑筋」「心筋」「骨格筋」の大きく三種類に分けられます。「平滑筋」は主に内臓や血管、「心筋」は心臓を形づくる筋肉ですが、この二つは私たちの意志で思うようには収縮弛緩をコントロール出来ません。一方、私たちの意志で動かす事が出来るのが「骨格筋」です。「手足を動かす」などのように、一般的に身体を動かす際に使われる筋肉を想像すると分かりやすいかと思います。意志で動かす事の出来る理由は、骨格筋が脳からの運動指令にしたがう筋肉であるためです。

 

 

骨格筋は、運動以外にも大事な役割を持っています。

 

 

血糖値が高い(血液中に過剰なブドウ糖がある)場合、骨格筋にはこのブドウ糖の貯蔵庫となる役割もあります。この場合は主に骨格筋のエネルギー源として使用されます。

 

 

また、骨格筋は体温調節にも重要な役割を果たしています。人体のエネルギーの約80%は主に体温維持の熱産生に使われますが、人体の1日の熱産生の内、骨格筋から発生する熱は安静時で約25%、通常の生活活動では約60%も占めると言われています。

 

 

更に近年、骨格筋からホルモン様の働きをする「骨格筋由来液性因子(マイオカイン)」と呼ばれるものが分泌される事が諸々の研究からわかってきました。マイオカインは数十種類程度見つかっていると言われており、筋の修復などの骨格筋自身だけでなく、動脈硬化や糖尿病等の病気から身体を守るなど、他の器官へも様々な生理活性作用を持つ可能性が明らかになってきました。

 

このように様々な役割のある骨格筋ですが、骨格筋は加齢と共に自然に減少してしまう性質があり、適度な運動の機会がなくなると更に骨格筋は減ってしまいます。日常的に続かない運動量はもちろん良くありませんが、なかなか運動をする機会のない人も、簡単に身体を動かす事から始めてみませんか?

 

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