からだの構成成分と生命活動

2018/11/01 コラム

からだの構成成分と生命活動

 ヒトは「生物」です。生物とは文字通り“生命活動を営む物質”ということができます。動物も植物も微生物も生物です。物質は生物でも非生物でもすべて分子で構成されています。分子は原子の組み合わせからできています。原子の種類が元素であり、自然界には90種類以上の元素が存在します。興味深いことに、生物を構成する分子である「生体分子」の大部分は、炭素、酸素、水素、窒素が主要な成分元素になっています。

 

生体分子の代表的なものに、タンパク質、糖質、脂質、核酸(DNAやRNA)などがあります。これらの生体分子が分子集合体(生体膜、細胞小器官、細胞質ゾルなど)を形成し、分子集合体が生物の基本単位といわれる「細胞」を組み立てています。多細胞生物であるヒトは、約200種類の細胞が数十兆個も集まってできているようです。異なる機能を持つ異なる種類の細胞が、筋肉や神経などの組織や肝臓や心臓などの器官を作り、組織や器官がヒトという生体を形成します。生命活動(代謝、運動、成長、生殖、思考などなど)という複雑で緻密な現象は、生体を構成する多様な生体分子の反応や相互作用によってつくり出されているわけです。加えて「親から受け継いだ遺伝情報」や「食物分子がもたらすエネルギー」も生物が個体を形成し生命活動を維持していくために必要不可欠なものです。生体分子遺伝情報エネルギーの三つは、ヒトを含めた生物がそれぞれの生命活動を営むための大切な基本要素といえるでしょう。ヒトは食物なくして生きることができません。食物は、ヒトが生きるために必要となる生体分子の素材やエネルギー源を供給してくれる大事な物質であるからです。水はヒトの体重の約六割を占める最多量構成成分で、生命活動に不可欠な物質です。水分子は、代謝反応の進行、生体分子の輸送、生体構造と生体内環境の維持などに関与して、生体機能を多面的に支えているのです。

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