2022/12/01 コラム
ザクロについて
ザクロは、ミソハギ科の植物で、ペルシャ地方(現在のイラン)が原産地とされており、古来より食べ物として利用され、旧約聖書やインドの古文書などにも多くの記述が見られます。
またザクロの果実に種子が多いことから、ヨーロッパではザクロは豊穣のシンボルとして扱われています。
現在は、アメリカや中国など世界各地で栽培されており、ザクロの生産量はイランが最も多いです。
日本には平安時代に中国から伝来したと考えられており、最初は薬として利用されていたそうです。
その後、ザクロは果実を食べることが目的の実ザクロと花を鑑賞することが目的の花ザクロとして日本中に広まっていきました。
我が国におけザクロの生産は、1980年代では年間数トンありましたが、現在はまとまった生産はほとんどありません。
ザクロの旬は秋(9〜11月初旬)ですが、日本では経営的なザクロの生産はほとんど行われていないことから、秋にスーパー等で販売されるザクロはカリフォリニア産などの輸入品がほとんどです。
ザクロは、生食やジュースとして利用され、果実酒や果実酢にも加工されています。
特にザクロの加工品では、ザクロの果汁に砂糖を加えて作るグラナデンシロップが有名で、カクテルの材料に利用されます。
ザクロに含まれる機能性成分に関して、ザクロにはポリフェノールの一種である抗酸化性物質のアントシアニン類やエラジタンニン類が豊富に含まれています。
エラジタンニン類は、摂取すると腸内でエラグ酸というポリフェノールに分解され、さらにこのエラグ酸は、腸内細菌によってウロリチン類に分解されます。
近年、このウロリチン類に様々な健康増進作用があることが明らかとなっており、抗炎症作用、抗老化作用、抗高尿酸血症作用、筋増強作用などが報告されています。
今後もザクロから疾病の予防や健康の維持・増進に寄与する成分が新たに見出されるとともに、我が国でもザクロの栽培が再び盛んになることが望まれます。
【参考文献】
1. 村松昇著 (2015) ザクロの特徴と日本におけるザクロ栽培の歴史について. 農業および園芸 90 (1):12-17.
2. 農山漁村文化協会編(2010)地域食材大百科 第3巻 果実・木の実、ハーブ 農山漁村文化協会.
3. Komatsu W, et al (2018) Urolithin A attenuates pro-inflammatory mediator production by suppressing PI3-K/Akt/NF-κB and JNK/AP-1 signaling pathways in lipopolysaccharide-stimulated RAW264 macrophages: Possible involvement of NADPH oxidase-derived reactive oxygen species. Eur J Pharmacol 833:411–424.
4. Ryu D, et al (2016) Urolithin A induces mitophagy and prolongs lifespan in C. elegans and increases muscle function in rodents. Nat Med 22:879–88.
5. Adachi S, et al (2020) Antihyperuricemic Effect of Urolithin A in Cultured Hepatocytes and Model Mice. Molecules 25:5136.