大阪の伝統の食⑤ たこ焼き

2023/01/01 コラム

大阪の伝統の食⑤ たこ焼き

お正月やお祭りの屋台、パーティー、おやつ、昼食、夕食、様々な場面で食べられているたこ焼き。

今や大阪の伝統の食の一つですね。今回はたこ焼きの歴史についてお話します。

 

 

たこ焼きのルーツは、明治末期から大正時代にかけて(諸説あり)駄菓子屋や縁日の屋台などで人気であった「ちょぼ焼き」からの派生といわれています。

ちょぼ焼きは浅いくぼみのある鉄板に、醤油を入れて味をつけた生地を流し、こんにゃくや紅しょうが、えんどう豆などを入れて焼き、具が入ったところがふくらんだ一枚ものだったそうです。

 

一方、兵庫県の明石市には「明石焼き/玉子焼き」があります。明石市では江戸時代末期から大正時代にかけて、装飾品の「明石玉(人工珊瑚)」を製造していました。

製造するときに卵白を使うのですが、このときに余った卵黄と明石の海でたくさん獲れるタコを混ぜてできたものが玉子焼きの始まりではないかといわれています。

玉子焼きは浮き粉(じん粉:小麦粉でん粉を精製したもの)を使い、生地がやわらかく、だしに浸して食べることが特徴です。

昭和63年頃、市の職員が明石の町のPRになるようにと「明石焼き」と名前をつけたところ、各地にその名前で広まったそうです。  

 

 

大正末期にラジオ放送が開始されると、昭和8年に大阪ではすじ肉やこんにゃく、豆などを入れて丸く焼いた「ラジオ焼き」が登場しました。

昭和10年にお客から「明石ではたこが入っている」と聞いた店主が、ラジオ焼きの具にたこを用いた「たこ焼き」の販売を始めたそうです。

当初は生地に醤油味がついており何もつけずに食べていましたが、戦後、濃厚ソースが登場し、ソースを塗って青のりやかつお節をかけて食べるようになりました。

最近ではたこ焼きソースも販売されていますが、たこ焼きに合うように甘めに作られています。

 

 

今日では、たこ焼きの具には様々なバリエーションがみられます。

2022年10月に本学科の18期生へ好きなたこ焼きの具を尋ねたところ、たこのほかチーズ、キムチ、ウインナー、餅などの意見が多く、変わり種ではチョコレート、マシュマロ、梅干し、アボカドなどがあげられました。  

 

一方、NTT東日本・西日本のタウンページ、人口10万人当たりの「たこ焼店」登録件数による都道府県ランキング(2021年)によると、1位は大阪府で404件が登録されているそうです。

今や海外でも販売されているたこ焼き。これからもたこ焼きは大阪のみならず世界中で愛される料理の一つとなりそうですね。

 

 

【参考文献】

1)別冊「うかたま」伝え継ぐ日本の家庭料理,小麦・いも・豆のおかず,大阪府「たこ焼き」,農文協(2017),協力:米澤朋子・美栄子,藤原弘子,休斎敏彦・美和子,著作委員:山本悦子,p.32-33

2)農林水産省,うちの郷土料理-次世代に伝えたい大切な味-,大阪府「たこ焼き/たこやき」, https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/39_15_osaka.html (2022.10.5)

3)農林水産省,うちの郷土料理-次世代に伝えたい大切な味-,兵庫県「明石焼/玉子焼」, https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/40_2_hyogo.html (2022.10.5)

4)タウンページ データベース,最新!日本全国ランキング/たこ焼き・お好み店, https://www.ntttp-db.com/post/ranking006 (2022.10.5)

 

 

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