かき(牡蠣)について

2023/12/01 コラム

かき(牡蠣)について

かき(牡蠣)のおいしい季節です。

冬に出回る主なかきは、養殖用のまがき(真牡蠣)です。

まがきの旬は秋から冬にかけてです。

夏が旬のかきもあり、代表的なものにいわがき(岩牡蠣)があります。

 

国内におけるかきの養殖生産量は、広島、宮城、岡山、兵庫の順で多く、広島だけで国内の60 %近くの生産量を占め、これら4県で国内の90 %近くを占めます。

また日本では、かきの養殖が始まったのは、江戸時代前期の安芸国(広島県)であると記録が残されています。

 

かきは牛乳のように栄養価に優れ、白いので「海のミルク」といわれています。

かきにはグリコーゲンや鉄、銅、亜鉛、カルシウム等のミネラル、ビタミンB群などの栄養素やタウリンなどの機能性成分が豊富に含まれています。

 

特に亜鉛は、含有量が100 gあたり14.0 mgと多く、味覚障害の予防、新陳代謝の促進、抗酸化作用、免疫力の向上、生殖機能の改善などに有効です。

また、かきに多く含まれている鉄、銅、ビタミンB12 は貧血予防に役立ちます。

 

グリコーゲンは、体内でぶどう糖に分解されてエネルギー源となるだけでなく、味のコクやとろみを強める作用もあります。

グリコーゲンは旬の時期に含有量が最も多くなるので、旬のかきは栄養価が高いだけでなく、おいしさもアップします。

 

さらに機能性成分でアミノ酸のタウリンは、肝臓機能の向上、コレステロール低下作用、血圧低下作用、抗酸化作用など様々な機能性が認められています。

 

 

かきの市販品には、「生食用」と「加熱用」とがありますが、「生食用」が新鮮なもので、「加熱用」が新鮮でないものと区別されているのではなく、かきの採れる海域で区別されています。

生食用のかきは、食中毒を起こす微生物に汚染されていることのないように、保健所で指定した菌の少ない海域で生産されたものであるか、採取後に殺菌した海水で浄化処理されたものです。

その他のものは、加熱用、加熱調理用、加熱加工用として出荷されます。

 

栄養たっぷりで、とてもおいしい旬のかきですが、ノロウイルス中毒などの食中毒の原因となることがあります。

十分に加熱したものを食べましょう。

 

 

【参考文献】

1. 農林水産省ホームページ「漁業・養殖業生産統計(令和4年)」

2. 水産庁ホームページ「水酸白書(平成25年度)」

3. 文部科学省、日本食品標準成分表2020年版(八訂)、2020年

4. 主婦の友社編、最新体にいい栄養と食べもの事典、主婦の友社、2006年

5. 澤野勉原編、高橋幸資新編、新編 標準食品学 各論[食品学Ⅱ]、医歯薬出版、2018年

6. 栢野新市ら編、栄養科学イラストレイテッド 食品学Ⅱ 改訂第2版 食べ物と健康 食品の分類と特性、加工を学ぶ、羊土社、2021年

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