2024/06/28 コラム
土用の丑の日
「土用の丑の日にはウナギを」ということで鰻屋さんをめざしてお出かけする人も多いことでしょう。
夏バテ防止にと、舌鼓を打つ様子は夏の風物詩でございます。
土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、元禄時代に始まったそうです。
元禄時代とは江戸時代中期、第5代将軍、徳川綱吉がおさめていたころなので、300年ほど前ということになります。
平賀源内が著書で、土用の丑の日にうなぎを食べるとからだによいと書いたことが切っ掛けといわれています(諸説あり)。
さて、そもそも土用の丑の日ってなんだ?と疑問を持った人もいるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、そんな素朴な疑問にお答えしたいと思います。
「土曜の牛の日だと思ってたよ・・・」という人も(この記事を担当する私も学生の頃はその一人でした)、この記事を読んで知ったかぶりすることにしましょう。
「土用」とは、季節の変わり目の前、18日間のことをいいます。
立夏の前18日を春の土用、立秋の前18日を夏の土用、立冬の前18日を秋の土用、立春の前18日を冬の土用といいます。
季節ごとに年に4回訪れることになるので、土用は夏だけではありません。
ただ、どうやら夏の土用は特別なようです。
「土用」と付く言葉を調べてみました。
「土用三郎」は夏の土用の3日目を指し、この日の天候で豊作かどうかが決まるとされていたそうです。
「土用波」とは、台風から寄せてくるうねりのことで夏の土用の頃に多いのでこの名があるとのこと。
その他にも、「土用藤」や「土用干し」、「土用休み」も夏にまつわる言葉です。
ちなみに、俳句では「土用」は七月の季語になっています。
さて、もう一つの言葉、「丑」とは十二支の一つ、丑のことです。
「来年はなにどしだっけ?」って確認してから年賀状を作り始めますよね。
その十二支のことです。
余談ですが、十二支と干支(えと)は混同されますが、同じではありません。
「今年の干支は?」と聞かれて「辰」と答えると、厳密には半分だけ答えたことになります。
干支は、十二支と十干(じっかん:甲、乙、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸)の組み合わせなので、60年で一周りします。
2024年は干支では、甲辰(きのえたつ)となります。
話がそれましたが、土用の丑の日とは、土用にある丑の日ということになります。
今年は7月24日(一の丑)と8月5日(二の丑)が夏の土用の丑の日となります。
18日間のうち、12日で一周する暦を数えるので、2回来る年もあるのです。
2024年はまさにその年となります。「二回も鰻が食べられる!!」と思うかどうか、財布とよくよく相談して決めることにしましょう。
うなぎは、ビタミン類、鉄分、亜鉛やDHA、EPAといった脂質を多く含んでいます。
夏バテ防止につながる食材として今は広く親しまれています。
皆さんもこの夏の暑さを、うなぎを食べて乗り切りましょう。
【引用・参考】
宮崎正勝:知っておきたい「食」の日本史、株式会社角川学芸出版
農林水産省HP https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1607/spe2_01.html