ワインの機能性‐フレンチ・パラドックス

2018/09/01 コラム

ワインの機能性‐フレンチ・パラドックス

フランス人は、牛肉やバターなど脂っこいものが大好きでたくさん食べているにもかかわらず心臓疾患による死亡率が低いことが知られています。この一見矛盾する現象は“フレンチ・パラドックス”と呼ばれています。実はこの現象にはワインに含まれるポリフェノールが関与するのですが、1980年代後半にフランスの科学者セルジュ・ルノー氏がこれを見つけ、1991年にアメリカCBSの有名なドキュメンタリー番組“60 Minutes”が取り上げたことから、世界中に赤ワインブームをもたらしました(全世界で消費量が44%増えたといわれています)。

 

それではまず、ワイン中のポリフェノールはどこからもたらされるのでしょうか。製造法を確認すると、葡萄(ぶどう)の果汁のみをタンク内に投入する白ワインは1ℓあたり1グラム以下しか含まれないのに対し、果皮や種子もいっしょに入れる赤ワインは4~8グラムも含まれます。これはポリフェノールが葡萄の果皮と種子に由来していることを示しています。

 

では、ポリフェノールはどのように機能性を発揮するのでしょうか。「ポリフェノール」とは、もともと“ポリ”と“フェノール”が接続した造語で「フェノール性水酸基をたくさんもつ化合物」を意味し、現在、5000種類以上がみつかっています。その中でもワインにはカテキンとアントシアニンと呼ばれる2種類のポリフェノールが含まれていて、これらが体内の活性酸素を除去し、動脈硬化や心筋梗塞を予防していると多くの研究者は考えています。

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