生活習慣を見直してみませんか

2020/01/01 コラム

生活習慣を見直してみませんか

生活習慣を改善すると病気の予防につながるとよく言われますが、どのような根拠が得られているのでしょうか。

 

このような生活習慣と病気の関係を調べた研究に、1990年から国立がん研究センターを中心として始められた多目的コホート研究があります。これは、全国11地域の約14万人の住民への生活習慣や健康に関するアンケート調査の実施、健診データの収集、血液検体の提供およびその分析、また20年以上にわたる研究対象者の追跡調査等によって、種々の生活習慣とがんや心筋梗塞などの生活習慣病との関連を明らかにしようとするものです。そしてその成果は、現在までに300を超える学術論文等としてまとめられています。

 

ここでは、このような研究から得られた成果の一端をご紹介したいと思います。

 

がんとの関連で注目する要因として、非喫煙、節酒、食事(塩蔵品を控える)、活発な身体活動、肥満度(適正BMI*1)の5つの健康習慣を取り上げ、その健康習慣をいくつ実践しているかによって、がん全体の発生に影響があるかどうかを検討した報告があります。

 

上記の5つの健康習慣のうち、実践しているのが0又は1つのグループを基準とし、そのグループのがんのリスクを1とした場合、2つ、3つ、4つ、あるいは5つ実践しているグループの相対リスクは、下図のように男女とも全体として健康習慣の数が増えるにしたがって、徐々に低下しました。1つの健康習慣の実践により、平均すると男性で14%、女性で9%のリスク低下がみられました。

 

生活習慣を改善することはなかなか困難なことですが、1つでも生活習慣を変えることができれば、がんの発生リスクは下げられるようです。あなたも1つでも多くの健康習慣を実践してみませんか。このコホート研究について詳しくお知りになりたい方は、国立がん研究センターの多目的コホート研究のサイト(https://epi.ncc.go.jp/jphc/)をぜひ訪問してみてください。がん発生に対する5つの健康習慣の個々の効果やその組み合わせによる効果について、男女別に年齢で分けて調べた結果もあります。また、この他にも様々な生活習慣と病気の発症リスクとの関連についての情報が得られます。

 

注1 BMIは、体重kg/(身長m)2で計算します。本研究で使用されている適正BMIは、男性が21-27、女性が19-25となっています。

 

(多目的コホート研究より得られた結果をもとに作成)
 

 

 

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