2018/07/01 コラム
食中毒予防について
夏は細菌性食中毒が心配される季節です。昨年は、幼稚園で前日に調理したカレーが原因のウェルシュ菌による食中毒や、複数の小学校で集団発生した刻み海苔が原因のノロウイルスによる食中毒が耳目を集めました。
ウェルシュ菌のように熱に強い芽胞 (※注)を形成する細菌では、加熱調理により菌体が死んでも芽胞が残り、常温に放置しておくと細菌が増殖して食中毒を起こす原因となりますので、冷蔵庫での保存等の適切な管理が必要です。また、ノロウイルスは乾燥や熱に強いことが知られており、食中毒を予防するには中心部まで85℃、1分以上の加熱調理が必要です。
食中毒予防を考える場合、食中毒細菌やウイルスを「増やさないこと」、「殺すこと」も重要ですが、まず、そのような食中毒細菌等を食品に「つけないこと」が大切です。その方法の1つとして、食材を触る前に十分に手洗いを行って清潔にしておくことが挙げられます。下左図は蛍光物質の入ったローションを両手にまんべんなく塗り、紫外線下で観察したものです。白く見えるのは蛍光物質ですが、これを汚れに見立てています。下右図は手洗い後ですが、手洗いが不十分なため、爪や指の間等汚れが残りやすいところが白くなったままです。これからの季節、このような箇所も注意深く洗って清潔な手で調理をするよう心掛けていただきたいと思います。厚生労働省のホームページにも食中毒予防について詳しく取り上げられていますので参考にしてください。
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html)
※注:生育条件の悪化により菌体内に形成される休眠状態の細胞
黄色の矢印は洗い残しが多い部分