2020/06/01 コラム
乳酸菌の世界
私たちの身の回りには様々な発酵食品があります。食卓に並ぶ身近な発酵食品は、味噌、醤油、納豆、ヨーグルトなどたくさんあります。今回は発酵食品の中でも乳酸菌について取り上げてみたいと思います。
乳酸菌と言えば、ヨーグルトや酸味のある発酵飲料をイメージする方が多いと思いますが、漬物に使う野菜にも乳酸菌は含まれています。また、味噌も発酵の過程で乳酸菌の役割もあり、私たちは多くの発酵食品を食べる際に、知らない間に乳酸菌も取り入れています。
乳酸菌の発見は古く、17世紀ごろに顕微鏡を発明したオランダのレーウェンフックだといわれています。彼は、自作した顕微鏡で野菜や乳に含まれる乳酸菌を観察しました。その後、本格的に乳酸発酵を研究したのはパスツールで、19世紀ごろの話です。さらに、研究が進むにつれて、乳酸菌は、私たちの腸内において重要な役割を担っていることが知られてきています。
最近では、乳酸菌は、プロバイオティクスといって、腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物という考え方が一般的になり、便秘や下痢などを改善する有用な微生物であると考えられています。
日本でも乳酸菌を利用した食品は、各乳業メーカーから発酵乳やヨーグルトをはじめ、サプリメントのタイプまで様々な食品が発売されています。
一般的な乳酸菌の役割は、先ほど述べたように下痢や便秘などの改善に代表される「お腹の調子を整える」整腸作用がよく知られています。このほかにも、コレステロールの低下や血圧の低下、あるいはインフルエンザなどの病原菌に対する増殖抑制作用などが知られています。
詳しいメカニズムは、明確にはわかっていませんが、私たちの小腸には、人体の生理機能を調整している場所があると考えられており、その部分に乳酸菌が働きかけている可能性が示唆されています。今後も乳酸菌の研究はさらに活発になると考えられますので、遠くない未来にもっと多くのことが明らかになると考えられます。
しかし、健康によいといっても特定の食品だけをたくさん取ることは、良くありません。様々な食品を組み合わせて、食事のバランスを保つことが重要です。