健康教育とヘルスリテラシー

2020/07/01 コラム

健康教育とヘルスリテラシー

みなさんはインターネットに掲載されている健康情報を鵜呑みしていませんか?今回は、自分の健康を守るために必要な「ヘルスリテラシー」について紹介します。

 

リテラシー(literacy)には、「読み書き能力」や「知識や能力がある」という意味があります。公衆衛生分野においてリテラシーのもつ意味が拡大し、健康と深く関連していることが明らかとなったことでヘルスリテラシーという概念が広まっています。

 

アメリカ保健福祉省が『ヘルシーピープル2010』という健康政策の中で、ヘルスリテラシーとは、「健康に関する適切な意思決定を行うのに必要な情報やサービスを手に入れて、整理して、理解する能力の程度である」と定義しています。しかし、近年も研究者からヘルスリテラシーの新たな定義が提唱されており、まだ発展途上中の概念です。

 

管理栄養士の職域においても、2019年3月に公表された『管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会報告書』の栄養教育論分野の項目に、「ヘルスリテラシー」という語句が新たに追加されていることからも、最近の健康教育のキーワードとなっていることがわかります。

 

 

 

インターネットが普及し、さまざまな栄養や食、健康に関する情報に触れることができます。そこで、私たちにはテレビやインターネットなどから得られる情報の信憑性を判断する能力が問われています。

 

あるインターネットのホームページ上で、「キャベツを枕にして寝ると、発熱が改善し、さらに体内の毒素を吸い出す!」という、到底信じがたい記事を一部のインターネットユーザーが信じ込み、我が子の頭にキャベツの葉を被せた姿をSNS(social networking service)で投稿していたというニュースがありました。

 

極端な例を紹介しましたが、健康に関する情報源を見る際は「この情報は本当に信用していいの?誤った情報ではないか?」と批判的に吟味することが極めて重要です。

 

 

健康の話題を取り上げている膨大な数のメディアの中から、私たちは正しい情報を見極めなければなりません。では、みなさんが日常見ている情報源についてお聞きします。

 

①情報源に関する作成者、あるいは責任者(機関)が明確になっていますか?

②学術学会、行政機関などの信頼性の高い組織や科学的根拠に基づいた参考文献などの情報源は示されていますか?

 

健康に関する情報を信頼性の高い組織から「入手」し、正しく「理解」し、有効に「活用」できるヘルスリテラシーの高い健康行動を心がけましょう。

 

 

 

参考文献

厚生労働省 管理栄養士国家試験出題(ガイドライン)改定検討会報告書 2019.

福田洋 江口泰正編 ヘルスリテラシー ―健康教育のキーワード 東京 大修館書店2016

 

 

 

 

 

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