学校給食のはなし

2020/11/01 コラム

学校給食のはなし

学校給食が日本に登場して130年が経過します。

1889(明治22)年に山形県鶴岡町(現在の鶴岡市)の私立忠愛小学校で始まったとされています。

当時は貧困児童を対象に宗教的な救済事業として無償で提供され、献立内容は、おにぎり・焼き魚・漬物だったそうです。

昭和初期には児童の栄養改善に向けて全国的に広がりました。

しかし、太平洋戦争時には食糧不足のため、中止に追い込まれました。

 

 

 

 

戦後、1946(昭和21)年に文部・厚生・農林三省の次官通達「学校給食実施の普及奨励について」が発せられ、全児童を対象とした健全な育成が給食実施の目的として掲げられ新しい学校給食が開始されました。

1947(昭和22)年~1954(昭和29)年頃の献立内容は、脱脂粉乳と1品のごった煮だったそうです。

そして食糧難の日本にユニセフからミルク(脱脂粉乳)が、アメリカから小麦が寄贈され、パンを主食としてミルク、おかずを加えた完全給食がスタートします。

1954(昭和29)年には「学校給食法」が成立し、ようやく実施体制が法的に整いました。

1958(昭和33)年頃から、脱脂粉乳は牛乳に置き換わります。

 

 

時代の流れと共に給食献立にも変化があり、1976(昭和51)年には米飯給食が導入されました。

1989(平成元)年には選択給食(バイキング給食・セレクト給食)や予約給食(リザーブ給食)なども実施されています。

また1996(平成8)年には、O-157による食中毒事件が発生し、児童の尊い命が奪われました。

食中毒を防止するために「学校給食衛生管理の基準」が定められ、加熱調理が原則となりました。

さらに、2012(平成24)年に発生した食物アレルギーによる死亡事故を受けて、「学校給食における食物アレルギー対応指針」が配付されています。

2013(平成25)年には「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことから、和食給食の充実や地場産物の活用、郷土食などが献立に取り入れられています。

 

 

 

 

完全給食実施率は、2018(平成30)年で、公立の小学校で99%、中学校で93%となっています。

現在では、学校給食は多彩になり、また多様になりました。

しかし、成長期の児童・生徒にとって、学校給食を通して適切な栄養を摂取し、健康を保持増進するという役割は変わっていません。  

 

 

 

 

 

 

【参考資料】

全国学校給食会連合会:学校給食について,学校給食の歴史,https://www.zenkyuren.jp/lunch/  (2020年8月26日アクセス)

金田雅代:四訂栄養教諭論―理論と実際―,建帛社,14-16,28-36頁(2019) 

             

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