数千年を超えて長い歴史に見守られ、貨物船や小舟に揺られて人びとが集まる、食や文化の交差点と言われた地域があります。

そこは創造的なアイデアを持ち、新しい習慣や宗教が集合して融合したエリアで、人、食や風景さえも混じり合った街並みです。

小麦粉、ブドウ（ブドウ畑）、さかな、豆類、適量のワインそしてオリーブ油と並べば、伝統的な地中海型の食事が思い浮かびます。

その地域がギリシャ、スペイン、イタリア辺りであると理解できます。

その料理に使われる柑橘類の多くはアラブ人が運び、他にも様々な国から持ち込まれた食品や文化が取り込まれ、地中海型の食事として、広く知られるようになったのです。

いかに人が集まる食や文化の交差点とはいえども、地中海型の食事は、彼の地の陽気で大らかな性格があったからこそ成立したと言えるのかも知れません。

「地中海料理」「健康食」と聞けば、オリーブ油のみが健康の主役に思われるのですが、じつはオリーブ油を使いながら、同時に摂取する豆類、野菜や果物の量がとても豊富であることに「健康食」の真の理由があります。

さらに、地中海地方でもエリアごとに特徴があり、ギリシャでは、他の欧州諸国に比べて肉類の消費は少なく、全粒粉を使用したパンや乳製品（とくにチーズやヨーグルト）をよく食べています。

スペインは、それらに加えてさかなの消費が非常に多いのです。イタリアは、記すまでもなく加えてパスタの消費が多いことで知られています（イタリアは、腎不全治療食の低タンパクスパゲティ発祥の地！でもあります）。

ギリシャとその周辺は、他の欧州諸国に比べて長寿であること、現在よく知られている地中海型の食事が健康に良いことを報告した研究はギリシャを対象とした調査¹⁾が多かったことから、昔から続くギリシャの食事がクローズアップされたのです。

いま再び、これら伝統的な地中海型の食事に注目して、毎日の食習慣に取り入れてみませんか？

伝統的な・・・と記したのにはちょっとした理由があるのですが・・・次の機会に譲ります。

伝統的な地中海型の食事は、全粒粉のパン（または玄米）、さかな、チーズやヨーグルト、肉類、豆類、野菜、果物そしてオリーブ油を使った料理です。

成人の皆さんは加えて適量のワインです。トコフェロール、ビタミンC、β-カロテン、ミネラル、アントシアニン、ポリフェノールといった健康増進に良い成分²⁾をタップリ摂れそうですね。

具体的なメニューは！？何を買ってきたら良いの！？

焦らず、忘れずに彼の地の人びとのように、大らかな気持ちでいてください。

はい、それでは早速「ふっかの健康食ラボラトリー」で学生が考案した健康食メニューを検索してみましょう。

【参考文献】

1) JAMA. 1981; 245: 511-512.

2) BMJ. 1995; 311: 1457-1460.