2021/04/01 コラム
間違って食べちゃだめ!! 怖い“すいせん”の食中毒
自分に酔いしれるうぬぼれ屋さんのことを「ナルシスト」といいますね。
格好いい(と思っている)自分を愛する滑稽さを揶揄するときにも使うので、この言葉に良い印象を持たない人も多いのではないでしょうか?
ナルシストぶりを売りにするお笑い芸人もいたりしますね。
このナルシスト、正しくは「ナルシシスト」といいます。
語源は、ギリシャ神話に登場するナルキッソスという美少年です。
この美少年、ニンフのひとり、森の妖精エコーを失恋させたそうです。
ニンフとは、歌や踊りが大好きな山野、河川、樹木、洞穴などの若くて美しい女性の姿をした精霊のことを言うそうです、、、って、ナルキッソスはなんともけしからん奴ですね。
本当にけしからん奴かどうか、興味のある人はギリシャ神話を読んでみてください。
このナルキッソスが水に映る自分の姿に恋をして死に、化した花があります。
それは、すいせん。
すなわち、すいせんは、ナルキッソスが生まれ変わった姿ということになります。
すいせんは、英語では「Narcissus」と書きます(注:Narcissusは数あるすいせんの総称)。
すなわち、語源はナルキッソスですから、すいせんはめぐり巡って「ナルシシスト」の生まれ変わりと解釈する、、、かどうかは判断をみなさんにお任せいたしましょう。
ちなみに、花言葉の一つは「自己愛」です。
水辺に生息する可愛らしい花ですが、印象が変わってしまったかもしれませんね。
さて、このすいせんは間違って食べてしまうと大変なことになります。
30分以内に吐き気、嘔吐、頭痛、悪心、下痢といった症状が現れますので気を付けなければなりません。
「わざわざすいせんを食べたりしないよ」って声が聞こえてきそうですが、実は誤食の事故が毎年のように起きています。
令和2年も10月2日までに厚生労働省に報告のあった食中毒件数は3件、患者は8名です。
ニホンスイセンは2月頃にかけて花を咲かせますが、春先に葉だけになりニラと区別がつきにくくなり間違って食べてしまうのです。
令和2年10月までの報告事例は、3件とも4月に起きています。
特にこの時期に気を付けなければなりません。
ちなみに、原因物質はリコリンというアルカロイド系の化合物です。
アルカロイドとは、天然由来の窒素含有化合物のことを言います。
一般に生理活性が強く、身体に様々な症状を引き起こすことがあります。
こうした有毒植物による食中毒を防ぐには、誤りやすいものは食用として「採らない」「食べない」「売らない」「人にあげない」がポイントです。
【参考資料】(食中毒統計) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html