ジュニアアスリートとサプリメント

2021/09/01 コラム

ジュニアアスリートとサプリメント

小学生や中学生のいわゆるジュニアアスリートにとって、栄養・食事は日々のトレーニングで消費したエネルギーの補給や身体の発育にとって非常に重要とされています。

したがって、ジュニアアスリートを対象とした栄養教育のニーズは高く、管理栄養士をはじめとした栄養の専門家がその役割を担う機会が多くなっています。

ジュニアアスリートの日々の食事における調理担当者は保護者である場合がほとんどであるため、栄養・食事への関心が高い保護者が多く、スポーツ栄養に関するセミナーを実施しますと、非常に多くの質問が保護者の方から寄せられます。

その中でも、「サプリメントは必要ですか?」、「プロテインをのむタイミングはいつが良いでしょうか?」などの質問が多いことから、サプリメントに対する関心の高さがうかがえます。

 

 

日本のスポーツ科学研究の拠点である国立スポーツ科学センター(JISS)では、表1に示す通り、サプリメントを

①ダイエタリーサプリメント・スポーツフード

②エルゴジェニックエイド

に分類しています。

 

 

私たちが「サプリメント」と聞いてまず思い浮かべるものは、ビタミン・ミネラルのタブレットやプロテインのような「ダイエタリーサプリメント」ではないでしょうか?

これらは、食事では必要な量が摂れないエネルギーや栄養素を補足するためのものです。

 

また、「エルゴジェニックエイド」とは、運動能力に影響する可能性のある栄養素や成分とされ、アスリートのパフォーマンス向上が期待される一方で、必ずしも安全性が確保されているものばかりではなく、健康被害の問題も報告されています。

日本スポーツ協会によると、アスリートにとってサプリメントが必要となる状況として、①階級別種目で減量中、②過度の食欲不振、③特殊環境で食品入手困難、④試合中に食事をとる時間がまったくない、というようなケースがあるとしています。

その一方で、サプリメント使用に際しては、健康維持およびドーピングの観点から、個別に栄養アセスメントを行い、スポーツドクターやスポーツ栄養士と相談しながら、本当にサプリメントが必要な場合にのみ使用するように注意を呼びかけ、さらに18歳以下のアスリートについては、医学的に必要な場合以外は使用するべきではないと指摘しています。

以上のことから、ジュニアアスリートがサプリメントに頼らない食習慣を獲得できるように、保護者と栄養の専門家が連携して、ジュニアアスリートへの栄養教育に努めていくことが重要と思われます。

 

 

 

 

【参考文献】

日本スポーツ振興センター.サプリメント@JISS.https://www.jpnsport.go.jp/jiss/Portals/ 0/special/supplement/doc/supplement_jiss.pdf(2021.4.26)

木村典代(2019)サプリメントと栄養エルゴジェニック.日本スポーツ協会,公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト第9巻スポーツと栄養.文光堂,p.79.

日本スポーツ振興センター.アスリートの栄養摂取と食生活.https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/k3-34.pdf(2021.4.26)

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